Pandora’s PlayHouse / Sananda Maitreya ('21)

すっかり放置していましたが久し振りにアルバムを紹介します😃
今回は、以前Prince Siteで紹介したサナンダ・マイトレーヤ(Sananda Maitreya) の新作「パンドラズ・プレイハウス」です。

Pandora’s PlayHouse

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収録曲

Volume 1
  1. Pandora’s Plight (feat. Antonio Faraò) (02:09)
  2. Time Is On My Side (Irene Grandi feat.Sananda Maitreya) (02:55)
  3. Don’t Break My Balls (03:03)
  4. Mama’s Boy Blues (04:22) [Ch2]
  5. The Ballad Of Rod Steiger (06:26) [Ch3]
  6. Don’t Leave Me Here! (04:33) [Ch1]
  7. Yuki Suzuki (03:25) [Ch3]
  8. Her Kiss (05:48)
  9. The MadHouse (04:04) [Ch2]
  10. Life’s A Bitch (05:11) [Ch2]
  11. The Kings Of Avalon (03:15) [Ch1]
  12. Pie (06:06) [Ch3]
  13. Mr. Skeleton (03:25) [Ch1]
  14. GlassHouse (02:09) [Ch3]

Volume 2
  1. Pandora’s PlayHouse (04:27) [Ch1]
  2. Reflecting Light (feat. The Avalanches Featuring Vashti Bunyan) (04:20)
  3. The Queens Of Babylon (03:33) [Ch1]
  4. Her Kiss – Acoustic (05:44)
  5. A Cool Breeze (05:10) [Ch2]
  6. One Horse Town (03:33) [Ch2]
  7. If This Van Is Rocking (04:20) [Ch3]
  8. Prometheus Rising (02:57)
  9. In America (03:52) [Ch3]
  10. The Ballad Of Smokey Robinson (04:06) [Ch3]
  11. Casa di Vetro (02:33)
  12. Excuse Me, But… (03:03) [Ch1]
  13. Don’t Break My Balls (02:55)
  14. Prince! (03:18) [Ch1]

サナンダ・マイトレーヤについて

1987年「Introducing The Hardline According To Terence Trent D'Arby」テレンス・トレント・ダービー(Terence Trent D'Arby))名義でデビュー。
2001年に夢の中で呼ばれた”サナンダ”という名が自分の事と気づき、そう呼ばれる事が自分らしいと感じたテレンスは芸名だけでなく名前もサナンダ・マイトレーヤに改名。
2002年に拠点をイタリアに移し、2007年からは自身のレーベル〈Treehouse Publishing〉から「Angels & Vampires」をリリース。
以降、Return To Zooathalon('13)、The Rise Of The Zugebrian Time Lords('15)、Prometheus & Pandora('17)と数曲発表してパッケージングするスタイルで新作をリリーしています。(かっこの年はフィジカルとしてリリースされた)

アルバムについて

2020年に掲載された公式サイトの情報(現在は削除)によれば、本作は前述の「The Rise Of The Zugebrian Time Lords」「Prometheus & Pandora」に続く3部作の完結に当たる作品で、〈PANDORA’S PLAYHOUSE〉というプロジェクト名は、2年前の誕生日となる’18年3月15日に公式サイトで「Prometheus & Pandora」で共演したイタリアの歌手で女優のルイザ・コルナ(Luisa Corna)とコラボする事を発表しました。

発表から2年の歳月が経った2020年4月、全四章の第一章(Chapter 1)にあたる〈Ch1. From Avalon To Babylon〉をリリース、これに伴い新型コロナ・ウィルスによりステイ・ホームをを余儀なくされている現状を反映したインパクトのある”Mr. Skeleton”のMVもアップされました。



その後7月に第2章〈Ch2. Absentee Ballet〉、10月に第3章〈Ch3. Addiction & Subtraction〉をリリース、2021年3月に第4章分を完成させると全曲を再配列し2枚組としてリリースされたのが本作となります。(判りやすい様にリストに章を記載しました)

カヴァーの"Time Is On My Side”と共作の"Pandora's Plight"と"Reflecting Light"を除き、ソングライト、アレンジ、プロデュース、パフォーマンスはこれまで同様サナンダが努めています。
ギリシア神話に登場する人類最初の女性"パンドーラー(「全ての贈り物」の意味も)”の名を冠したタイトル、そしてバベルの塔を連想させるアートワークも印象的な本作には、冒頭の”Mr. Skeleton”の様にコロナ禍ならではの楽曲から、宇宙やイタリアの女性の事といった抽象的なものから、俳優のロッド・スタイガー、スモーキー・ロビンソン、そしてプリンスといった実在の相手の事を歌ったものまで、サナンダの思考が複雑に入り組んだ作品になっています。

Volume 1

イタリアのジャズ・ピアニスト、アントニオ・ファラオと共作しパンドラの事を歌う"Pandora's Plight"に続いて歌われるのは、同じくイタリアで活躍するイレーネ・グランディをメインに据えローリング・ストーンズのカヴァーで有名な”Time Is On My Side”を披露。サナンダ自らストーンズの信者(Devotee)と公言しており「Angels & Vampires」では"Angie"をカヴァーした事もあるので納得の選曲ですがチョッピリ意表を突かれました。
この他、今の時代ならではのユニバーサルな歌詞の”Don’t Break My Balls”、一人ぼっちになる恐怖を描いた"Don’t Leave Me Here!"、日本への愛情あふれるメッセージ・ソング"Yuki Suzuki"など前半からバラエティに富んでいます。



後半も混沌とした世界観を表現したThe MadHouse、人生はビッチだ!という強烈なタイトルの"Life’s A Bitch"、アルバム・リリースに合わせて公開された"Pie"はイエロー・サブマリンっぽいロケットの窓からサナンダの他にビートルズやジミヘン、ベートーヴェン、そしてプリンスが手を降っているMVも印象的でした。




Volume 2

前作「Prometheus & Pandora」の延長線上にしてタイトル・トラックとなるインストゥルメンタルの"Pandora’s PlayHouse"からスタート。
オーストラリアのエレクトロニック・ユニットのアヴァランチーズとイギリスのヴァシュティ・バニヤンを迎え混沌とした今を表現した"Reflecting Light"、女性の尊厳を歌った”The Queens of Babylon”、BLM問題をサナンダらしい詩的な表現で歌う"One Horse Town"、アメリカを憂いた"In America"など魅力的な曲がありますが、やはりラストを飾るピアノによるインストゥルメンタル曲"Prince!"は聴き惚れてしまいます。

昨年発表された際NPG Prince Siteに掲載しましたが、こちらにも当時公式サイトに公開されたメッセージを引用しておきます。

I wanted to write something simple and heartfelt to honor the wonderful life of my friend and mentor, PRINCE.
There isn’t much more to say about it.
He was like THE BIG BROTHER YOU DREAM OF HAVING.
The one who went before you and made it easier for you to be yourself.
He was the idol that proved. Other idols were shady.
Master Jackson HATED ME, HARD !
But particularly masters Prince & Miles embraced me like a LONG LOST SOUL.
One that they knew NEEDED it. And I’ve only grown closer to them in the years as
I HAVE GROWN.

僕の友人であり、メンター(師)でもあるプリンスの素晴らしい人生を称えるため、シンプルで心のこもったものを書きたいと思っていました。
(素晴らしい人生について)これ以上、何も言うことはありません。
彼はあなたが夢に見る様な兄のような存在でした。
(プリンスは)僕より先を進み、僕が自分らしくいられる容易にしてくれた人でした。彼は正真正銘のアイドルだった。他のアイドルは胡散臭かった。
マスター・ジャクソンは、私をとても嫌っていました。
でも、(特に)プリンスとマイルス(・デイヴィス)は、僕を長い間失っていた魂のように抱きしめてくれました。
彼らは僕が必要としていることを知っていたのです。そして私は成長し彼らに近づいてきました。私は成熟したのです。

心の拠り所だったプリンスとマイルス・デイヴィスに対しての想いを綴っていました。
(マスター・ジャクソンとはマイケルの事だと思うのですが、何故ここでカミングアウトしたのか...余程ショックな出来事があったのかもしれませんね。)

続けて...

ASTRAL TWINS ARE USUALLY BORN WITHIN 4 years of the other.
And more than anyone, I always felt that Maestro Prince Rogers Nelson
& I were fathered by the same spirit.
And we are STILL catching up to the genius of his musical legacy and stunning musicianship.
We are lucky to have had him. He is The Godfather to one of my children
So he remains a part of my family.
I MISS HIM AND DEDICATE THIS SONG TO HIS MEMORY.

サナンダはプリンスとの精神的な繋がりを表現するため、ふたご座生まれのプリンスと4
年以内に生まれる"ASTRAL TWINS (双子座)"をかけ、同じ精神の元に育ったと感じ、自身はまたプリンスの天才性に追いついていないこと、そしてプリンスに出会えた事への感謝、去ってしまった事への寂しさを綴っています。

プリンスのピアノ曲"One Nite Alone..."にも通じる美しいこの曲は、アルバムを締めくくるに最良の1曲だと思います。





フィジカルはamazonなど入手し辛い状態ですが、公式サイトで購入する事が可能です。

€18,00で送料が€15,00、3月21日のレートで¥4,468となります。
(公式ではインストゥルメンタル・バージョンがデジタルでのみ€13,00で販売されています。)

少々お高く感じるかもしれませんが、サイン入りフォト・カードも貰えるのでオススメです。






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