2023年の年間ベスト・アルバム (その5)

2023年の年間ベスト・アルバムの第5弾は残りの5枚+αを書いておきます。 


Meshell Ndegeocello - The Omnichord Real Book
ミシェル・ンデゲオチェロ - ザ・オムニコード・リアル・ブック

カヴァー集の『Ventriloquism』から5年振り、オリジナルとしては9年振りとなる新作。
名門ブルーノート移籍第一弾で、ジェフ・パーカーやレオン・ブリッジズなどと支えているシカゴ出身のサックス/キーボード奏者、ジョシュ・ジョンソン。(ジョシュのデビュー・アルバムFreedom Exerciseも素晴らしいです!)
をプロデューサーを担当。現代ジャズ/R&Bを支える錚々たるメンバーが客演しています。
「It's a little bit of all of me, my travels, my life(この作品はは私のすべて、私の旅、私の人生の一部よ)」と語るとおり、ジョシュ・ジョンソンが参加したグルーヴ感がたまらない「Georgia Ave」やコリー・ヘンリーとジョーン・アズ・ポリス・ウーマンが参加したソウルフルな「Gatsby」など、アフロ・ビート、R&B、ソウルなどをもう1ステップ昇華させた楽曲を数多く収録。特に8分半におよぶ「Virgo」は必聴です。


Mohini Dey - MOHINI DEY
モヒニ・デイ - モヒニ・デイ

ベーシストの父と古典音楽の歌手の母という音楽一家(妹はギタリスト)。3歳でベースを教わり10歳頃からコンサートやレコーディングにも参加、2010年にはインドで活躍するランジット・バロットのアルバムに参加し、2016年にはスティーヴ・ヴァイの『Modern Primitive』の「Bop!」に参加、さらに2019年にはB'zのライブツアー〈B'z LIVE-GYM 2019 -Whole Lotta NEW LOVE-〉のサポート・ベーシストとして参加した事でも知られるインド出身のベーシスト、モヒニ・デイのデビュー・アルバム。
ロン“バンブルフット”サール(gt)をはじめ、ガスリー・ゴーヴァン(gt)、スタンリー・クラーク(ba)、ナラダ・マイケル・ウォルデン(ds)、スコット・キンゼイ(key) など錚々たるメンバーが参加。
5弦ベースを使った超絶スラップ奏法が得意で、その実力は冒頭の「In-N-Out」を聴けば一目ならぬ一聴瞭然。更にインドの伝統的な復唱法“コナッコル”を巧みに使った「Bombay Bong」も必聴。国内盤にはスティーヴ・ヴァイとジョーダン・ルーデスが参加した2020年リリースのシングル「Can You Feel Me?」も収録されています。


Liv Warfield - The Edge
リヴ・ウォーフィールド - ザ・エッジ

ハートのナンシー・ウイルソン率いるロードケース・ロイヤルのヴォーカリストとしてアルバムFirst Things First(2017年)、ライブ盤『Live at Cafe Wha?』(2022年)とリリースしていますが、単独名義のスタジオ・アルバムとしては2014年にプリンスのレーベルNPG RecordsからリリースしたThe Unexpected以来9年振りとなる3rdアルバム。
プロデューサーはリヴの他に、ロードケース・ロイヤルのバンド・メンバーだったライアン・ウォーターズ(gt)、ライアンと共に2019年の"Mantra"で手腕を振るったマーロン・パットン(dr)、そしてボビー・スパークスIIのアルバムに参加していたジャスティン・マッキニー(ba)が参加しています。
骨太なサウンドとパワフルなヴォーカルの組み合わせで本作の質を象徴するような先行リリースの「Edge」をはじめ、「The Unexpected」を想起させるようなキャッチーなリズムとホーン使いの「Maybe They'll Take Your Picture」やAORバラード風の「Bloom」、心地よいアフロ・ビートとファンキーなホーンが印象的な「Get 2 Know」、そしてフィル・コリンズの名曲を大胆にアレンジした「Another Day In Paradise」
など、これまでの経験が結実した作品と言えます。


Lana Del Rey - Did You Know That There's a Tunnel Under Ocean Blvd
ラナ・デル・レイ - ディド・ユー・ノウ・ザット・ゼアズ・ア・トンネル・アンダー・オーシャン・ブルバード

前作『Blue Banisters』から約1年半振りとなる9枚目のスタジオ・アルバム。制作にはドリュー・エリクソン、ジャック・アントノフ、ザック・ドウズ、ベンジーなどこれまでの作品で手腕を振るったプロデューサー陣が脇を固めています。
前作のリリース直後から心に浮かんだ言葉をスマートフォンのボイスメモ・アプリにアカペラで録音すると、ドリュー・エリクソンに送り形にしていきました。ある日、映画プロデューサーで2021年頃にラナと交際している噂されていたマイク・エルモーサマイクがラナのもとを訪れ、彼女のピアノを弾いたことが起因となりジャックを呼び本格的にレコーディングおこないます。ラナはこの頃にアルバムを制作していると実感したと話しています。
2013年のドキュメンタリー映画『20 Feet from Stardom(バックコーラスの歌姫たち)』に出演したメロディ・ペリー、パティ・ハワード、シケナ・ジョーンズが参加したマイクと共作曲のゴスペル・ソング「The Grants」、同じくマイクが参加したタイトル曲「Did You Know~」、前半と後半で趣が変わる7分超の「A&W」、第64回グラミー賞で5部門受賞のジョン・バティステを迎えた「Candy Necklace」などピアノ中心によるしっとりとした楽曲が揃っていますが、ラッパーのトミー・ジェネシスを起用した「Peppers」など単調にならない配慮も流石です。


The Rolling Stones - Hackney Diamonds
ザ・ローリング・ストーンズ - ハックニー・ダイアモンズ

カヴァー・アルバムの「Blue & Lonesome」だと7年振りですが、オリジナル・アルバムとしては「A Bigger Bang」以来となる18年振りの新作。
2021年にこの世を去ったチャーリー・ワッツの参加曲(「Mess It Up」、「Live by the Sword」)を含む12曲は、年齢(ミック&キース:80歳、ロン76歳)をまったく感じさせない痛快なロック・アルバムに仕上がっています。
元メンバーのビル・ワイマン(b)をはじめ、レディー・ガガ(vo)、スティーヴィー・ワンダー(key&pf)、ポール・マッカートニー(b)、エルトン・ジョン(pf)達も3人での再出発に華を添えています。




おまけ

2022年12月のリリースだったので選びませんでしたが、おまけで2枚紹介!

SZA - SOS
シザ - SOS

前作『Ctrl』から約5年半振りとなるセカンド・アルバムは2022年12月9日リリースされBillboard 200チャート初登場1位を獲得。チャートは通算10週1位(7週連続1位)をマークし、第66回グラミー賞の年間最優秀アルバムを含む計9部門にノミネートされた2023年を代表する1枚となりました。
プロデューサー陣には前作を支えたThankGod4Codyやカーター・ラングの他、ベビーフェイスやロドニー・ジャーキンスなどが参加、トラヴィス・スコットやドン・トリバーなど客演も含め豪華なアルバムに仕上がっています。優れた楽曲が並ぶ中でもグラミーで年間最優秀レコード、年間最優秀楽曲、最優秀R&Bパフォーマンス賞にノミネートされた「Kill Bill」は別格。


Prince and The New Power Generation / Diamonds And Peals Super Deluxe Edition
プリンス&ザ・ニュー・パーワー・ジェネレーション - ダイアモンズ・アンド・パールズ (スーパー・デラックス・エディション)

デラックス盤は選ばないと言っても、やはりプリンスは別格です。
長くなってしまうので、詳しくは下記に掲載してます。

Diamonds And Peals Super Deluxe Edition / ダイアモンズ・アンド・パールズ・スーパー・デラックス・エディション ('23)

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