2023年の年間ベスト・アルバム (その3)

前回に引き続き2023年の年間ベスト・アルバムの第二弾を書いておきます。 


Jon Batiste - World Music Radio
ジョン・バティステ - ワールド・ミュージック・レディオ

第66回グラミー賞で主要6部門にノミネートされたジョン・バティステ(ジョン・バティースと表記も有り)の7作目。
前作『We Are』が第64回グラミー賞で最優秀アルバム賞を含む5部門を受賞しプレッシャーがかかる中でリリースされた新作は、〈World Music Radio〉という世界中の音楽をかける架空のラジオ局のことで、ホストを務めるのはジョンが生み出したオルター・エゴ〈ビリー・ボブ〉という男性。ビリーが進行しながらゲストを紹介し曲をかけていく…というコンセプト・アルバムです。
アトランタのラッパーJ.I.D.と韓国のNewJeansが参加したコカ・コーラの体験型音楽プラットフォーム〈Coke STUDIO〉プログラムのリード・アンセム「Be Who You Are」を筆頭に南アフリカのネイティブ・ソウル、コロンビアのカミーロなどマルチリンガルが混在した楽曲が揃っています。(個人的にはケニー・Gが参加した「Clair de Lune」からジャジーな「Butterfly」の流れがお気に入り)
音楽ライターの内本順一さん寄稿の「ジョン・バティステはどうやってグラミー最多受賞後の新作を生み出したのか」がおすすめです。


Smokey Robinson - Gasms
スモーキー・ロビンソン - ガズムズ

クリスマス・アルバムの『Christmas Everyday』から6年振り、全曲オリジナルとしては2009年の『Time Flies When You're Having Fun』以来14年振りの新作。
発表直後から“オーガズム(絶頂感、快感)”を連想させるアルバム・タイトルが物議を醸しましたが、視覚や聴覚などあらゆる快楽について歌われるタイトル曲を聴けば少し騒ぎ過ぎな気がします。(私がプリンスを聴き過ぎて感覚がおかしくなっているのかもしれませんが…)
83歳になった今でもバリバリ現役なスモーキーならではの1枚です。


Terrace Martin - Fine Tune
テラス・マーティン - ファイン・チューン

ブルーナー兄弟(ロナルドとサンダーキャット)の従兄弟でサックス/キーボード奏者、ラッパー、ソングライター、プロデューサーと複数の顔を持つテラス・マーティンの新作は、フェラ・クティのサウンドを現代風にアップデートしたような「Degnan Dreams」を筆頭に、今年大ブレイクしているSZAの「Snooze」をシルキーなサックスの音色でエレガントにカヴァーするなど、"Presents"と記載されてる通り多くのゲストを迎えオムニバス的な作品。
この他、シンセ・ファンクの「Mind Your Business」、カマシ・ワシントンやラリー・ゴールディングスなどが参加したジャジーな「Final Thought」、ロバート・グラスパーが参加した独特なリズムが癖になるミディアム・スローの「Frowning Smiles」、コリー・ヘンリー参加による極上なソウル・ナンバーの「Sweeter」など名曲揃い。


Dylan Chambers - It's Time For DYLAN CHAMBERS!
ディラン・チェンバース - イッツ・タイム・フォー・ディラン・チェンバース!

テキサス州アーリントン出身のシンガーソングライター/ギタリストで18歳でLAに拠点を移し活動をスタート。
様々なアーティストとの共演やショウを経験を経て2020年からデジタル配信で楽曲をリリース。これまで発表した曲13曲+新曲2曲を加えた15曲でアルバム・デビューを果たしました。
“現代最高峰のカッティング・マスター”コーリー・ウォンを迎えたツイン・ギター曲「You Gotta Respect Yourself! (feat. Cory Wong)」をはじめ、ディスコ・クラッシック風の「Let’s Keep On Dancing」、Gラヴ&スペシャル・ソースを迎えたブルージーな「Mystical And Paranoid」などバラエティに富んだ作品を収録。更にCDにはランチマネー・ルイスとサックス奏者のデイヴ・コーズを迎えた軽快な「High (When I’m Low)」とソウルフルな「I Can Never Get Enough」がボーナス・トラックとして収録しています。


Depeche Mode - Memento Mori
デペッシュ・モード - メメント・モリ

デペッシュ・モード通算15作目のスタジオ・アルバム。
2022年5月26日、創設期からのメンバーだったアンディ・フレッチャーが急逝。ヴォーカルのガーンによると新作を作る事を止めるべきかと考えたそうだが、アンディ存命中からスタジオに入る計画を立てていた事、なにより二人が音楽に集中しアンディの死から気持ちを遠ざけることに集中するのが最善と判断し完成させる事が重要だと考え、前作を手掛けたジェイムス・フォードに加え、マルタ・サローニをプロデューサーに迎え完成。
「死を意識することで今を大切に生きることができる」という意味のタイトルからも、二人の想いがひしひしと伝わる作品に仕上がっています。




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